米国癌学会(AACR:American Association for Cancer Research www.aacr.org)
の年次総会が2007年4月14日~19日にかけてカリフォルニア州ロスアンゼルスで
開催された。
AACRの年次総会では例年のように食品と癌との関連が報告されるが、今年の年次
総会では、キャベツ、ブロッコリー、大豆、果物などの癌予防効果、癌の進行を阻止す
る効果が報告された。
米カリフォルニア大学ロスアンゼルス校のErin Hsu博士は、ブロッコリー、ケール、キャベツ、
芽キャベツなどのアブラナ科の野菜や大豆に含まれるジインドリルメタン(DIM)とゲニステ
インという物質が、乳癌と卵巣癌の細胞に湿潤性、転移性をもたらす蛋白質の生産を減少
させることを実験で確認した。
Hsu博士は、DIMとゲニステインのこの働きは他の異なったタイプの癌の発症と進行に
も効果があるだろうとみている。
この実験で使用されたDIMとゲニステインの量は、高単位のサプリメントに相当すると
のこと。
米ピッツバーグ大学癌研究所のShivendra Singh博士らは、アブラナ科の野菜に含まれ
るイソチオシアネート(ITCs)という物質に注目した。
ヒトの前立腺癌の腫瘍を移植したマウスに31日間、毎日ITCsを与えたところ、癌腫瘍が
縮小した。ITCsの量は、人が日常の食事で摂取可能な量に相当する。
この研究で注目されたのは、ヒトの前立腺癌の細胞の成長が阻止されただけではなく、
癌細胞が転移する時に必要な癌細胞に酸素と栄養を供給する新しい血管の形成をITCs
が抑制したことである。
米国立癌研究所のNeal Freedman博士らは、50歳以上の約50万人を対象とした研究で、
毎日1000カロリーあたり6品の野菜・果物を食べる人は、1.5品しか食べない人よりも、
咽頭癌、副鼻腔癌などの頭頸部の癌の発症リスクが29%低下すると報告した。
また、野菜・果物を1000カロリーあたりにつき1品多くすると、頭頸部の癌の発症リスクが
6%減少したとしている。
1日の摂取カロリーが2000カロリーの場合では、1日に12品の野菜・果物を食べれば、
頭頸部の癌発症リスクが約3割減少することになる。
1品の量の目安は、野菜・果物100%のジュース180ml、カットした果物半カップ、葉野菜
1カップ、である。
米国癌学会(AACR)は2007年5月7日に創立100周年を迎えるということで、今年の年
次総会は1万7000人以上が参加し、例年以上に盛会となった。
5月7日を「癌研究の日」とする嘆願イベントも行っている。